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#173 茅の輪(ちのわ)くぐり

各地の神社で行われる半年に一度のお祓い行事・夏越の祓(なごしのはらえ)


2023年6月末 山口市の山口大神宮、仁壁神社、古熊神社(茅の輪と人形流し)、周防大島の大歳神社


夏越の祓(なごしのはらえ)」は、一年の折返しにあたる6月30日に各地の神社で行われる季節の行事です。1月〜6月までの半年分の穢れを落とし、残りの半年の無病息災を祈願します。日本の神道の儀式に、心身の穢れをはらい、無病息災を祈る「大祓(おおはらえ)」があります。そしてこの大祓に、6月30日に行われる「夏越の祓」と、12月の大晦日に行われる「年越の祓」の2つがあります。

夏越の祓は、1月から6月までの半年間の災厄を清める儀式で、年越の祓は7月から12月までの穢れをはらうことが目的です。


夏越の祓では、「茅の輪くぐり(ちのわくぐり)」と「人形流し」の2つの特徴的な行事が行われます。


「茅の輪くぐり」では、神社の境内に立てられた直径数メートルほどの大きな輪をくぐります。輪は茅(ちがや)という草で作られており、これをくぐって身を清めます。

茅の輪をくぐるときは、決められた作法があります。「水無月の夏越の祓する人は、千歳の命延(の)ぶというなり」と唱えながら、左回り→右回り→左回りの順で、8の字を描くように3回続けてくぐります。


もうひとつが、「人形(ひとがた)」と呼ばれる、人の形をした紙を使った行事です。この紙の人形は、自分の身代わりを意味し、川に流したり、かがり火で燃やしたりして厄をはらいます。人形に自分の名前を記入し、その人形で体の悪い部分を撫でて穢れを移します。その後は、神社や地域ごとのやり方に従って、川に流したり、かがり火で燃やしたりします。


<備後国風土記より>

昔、素戔嗚尊(すさのおのみこと)がお嫁さんを探していました。そこで、北の海から、南の海に旅立ちました。途中、ある村にさしかかるとすっかり日が暮れてしまいました。そこで、宿を探すことにしました。見ると、立派なお屋敷が建っています。そこは巨旦将来(とたんしょうらい)の家でした。スサノオは巨旦将来に宿を借りたいとお願いします。そうすると巨旦将来は断り、スサノオを追い出しました。それを見かけた蘇民将来(そみんしょうらい)はスサノオに話しかけ貧乏ながら家に泊めることにしました。蘇民将来は貧乏ですが、スサノオに栗ご飯を出し、精一杯にもてなしました。翌朝、スサノオが旅立つときに、蘇民将来に茅の輪を渡し、スサノオは「茅の輪を腰につければ、疫病から身を守ることが出来る」といいました。その後、疫病が流行り、蘇民将来はスサノオから頂いた茅の輪を腰に巻き助かり、スサノオを泊めなかった巨旦将来は全員死んでしまいました。

それ以来、村人たちは疫病が流行ると腰には茅の輪巻いて、疫病の難から逃れたというのです。





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